レトロゲーム漂流記

古今東西のゲームと名のつく物が大好きなので、レトロゲームに限らずゲームについてのよろず書きます。

WizardryOnlineに見られる大衆迎合の悲しさ(とほんの僅かな期待)

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1980年の初頭のアメリカ。
コンピューターゲーム界の歴史に大きな足跡を残すゲームが生まれました。
そのゲームの名を Wizrdry(ウィザードリィ) といいます。

ウィザードリィは85年にPC版が、87年にファミコン板が移植され日本にやってきます。
ウィザードリィの正式なナンバリングは8まで。
日本産の外伝作品や、テーブルゲーム化した作品などの亜種も加えればその数は30を越え、小説化、マンガ化、映像化した作品を加えれば40を超えています。

またウィザードリィウルティマとローグと並び、三大コンピューターRPGの元祖としてその名を知られています。
いずれも1980年のはじめというコンピューターゲームの黎明期に発表された骨太のRPGです。
高い難易度と、正統派ファンタジーの世界観が評価されその要素は脈々と現在まで受け継がれています。
ウィザードリィは実は正統派ファンタジーというにはなかなかパロディやおふざけ要素が多く、正統派ファンタジーという枠組みからは逸脱しています。しかし日本国内ではそれらは新しい設定付け(もしくは無視)して正統派ファンタジーという評価をされつづけています。
おどろおどろしい世界観や、使い手次第では災厄にもなる強力な魔法、出現直後には判別できない敵の姿、鑑定するまでは得体のしれない戦利品、そんな武器と魔法とモンスターの設定はとても斬新なものであり、評価を与えられるべきものでした。
国産のウィザードリィシリーズでは、より一層「正統派ファンタジー」のイメージを強化し、外伝やBUSINではその正統派色を全面に押し出しています。

ウィザードリィの特徴のひとつに過酷なプレイ条件があります。
プレイキャラクターの初期能力は概ね、立ちはだかる敵モンスターと差が無く、数が拮抗していれば戦いに敗れ死に至ることもしばしば。
敵との戦闘に勝利し手に入れた宝箱には罠が仕掛けられており、罠の解除に失敗して死に至ることもしばしば。またダンジョンの奥深くの宝箱の罠ともなれば強制テレポートや爆弾によって一瞬にしてパーティ全滅ということにも。
ゲームプレイ初期状態においては状態異常は過酷であり、毒をうければ数十歩あるけば死に至り、麻痺すれば町に帰り着くまで回復できず。
また死に至ったキャラクターの蘇生に確実な手段はなく、2度蘇生に失敗するとロスト(消失)し、キャラクターの存在そのものが抹消されます。
パーティーが全滅したら死体も装備もダンジョンの中に残されて、新たにパーティーをつくり回収に向かわねば取り戻すことは出来ません。

そんな際立った特徴をもつウィザードリィのシリーズとして発表され、10月14日に正式サービスとして稼動した「WizardryOnline」ですが、オンラインゲームとしては世の中に数多ある3Dオンラインゲームとほとんど変わらない作りになっていました。
インターフェースは平凡で、どこかで見たようなものをそのまま名前だけ変えてもってきたように感じます。数をあげればキリがないほどのもので、オリジナリティはありません。しかしそれは、現在主流となって受け入れやすいインターフェースをそのまま投入したともいえます。
キャラクターデザインはFF14のパクリとも噂があるほどで、「売れている」ソフトの近似を狙っているように見受けられました。小さくて可愛らしいまるで人形のような「ポークル」、肉感的で男子受けするスタイルをもつ「ノーム」など、見た目が良い作りはまさに一般的なゲームのプレイヤーキャラクターです。
またポークルはオンラインとなった今作が初登場となる種族です。いままで選ぶことのできたホビットの代わりでしょうか?あえて今までの作品を遊んできたプレイヤーに対して馴染みのない新設定を持ってきた意図がつかめないのが気にかかります。
オンラインゲームの作りとしては、ごく一般的であるといえるでしょう。

さらにキャラクターの蘇生に失敗することはいまのところないといえます。
蘇生確率が表示され、手持ちのアイテムや課金アイテムを捧げると100%の確率で蘇生ができます。
大事に育てたキャラクターが消失することはありません。
仲間を募れば(特にそれが熟練のプレイヤーであれば)いとも簡単に用意されたダンジョンをクリアしていくことができます。苦労はありません。

ウィザードリィの名を冠しながらこのような作りで発表されたことに寂しさを覚えました。
ウィザードリィ」の魅力というのは取り返しの付かない厳しさ、自分ではどうにもできない理不尽さ、そしてまたそのようなストイックな設定の部分にあったのだと思っていたからです。
楽しい思いだけでずっと遊んでいられるゲームは、ほかのタイトルに任せればよかったのです。

オンラインゲーム運営はれっきとした商売であり、営利目的に運営されるべきものです。
つまり、「一般的」で「大衆受け」するべきであり僕が個人的にウィザードリィの魅力だとおもっている「厳しさ」や「理不尽さ」など売上からは相反するものでしょう。 
コンシューマーゲームのように小売店でソフトを買えば終わり、これがこのゲームの売上です!というものではなく、オンラインゲームというものは顧客がこのゲームをプレイし、楽しんで何週間も何ヶ月も、あるいは何年間もプレイし続け売上を上げていくことが目的ですから、 厳しさや理不尽さなどは不要なものなのです。
それはわかっています。

ウィザードリィオンラインはまだ正式サービスが始まったばかりです。 
今はまだ顧客を掴んでいる最中でゲームの中身もまだ明かされていない部分が多く残っており、この先どのような変化をしていくのかは開発者にしかわかりません。

変化し続けることができるということはオンラインゲームの最大の特徴です。
 ですから僕はこれから先、ほんの少しだけ期待しています。

ウィザードリィオンラインが罠一つで簡単に死に、どうあがいても勝てない敵が突然目の前に立ちはだかり、大切に扱っていた持ち物が奪われ、何ヶ月もかけて育てたキャラクターが完全に消失してしまう。
そういう厳しさや理不尽さが味わえるタイトルに成長していきますように。
 
(とはいえ、ウィザードリィも発表当時はヌルゲー扱いであったのだから、PCゲーム黎明期当時の理不尽さや難易度の高さはうかがい知れないですね)